COLUMNコラム
藻が発生したプールを安全・快適に保つ方法と予防策
夏には家族や友人とのアクティビティに、冬は観賞用として利用できる自宅プールですが「使用していると藻が発生して困る」「藻の掃除方法や予防方法がわからず、そのまま放置している」という方もいるのではないでしょうか。
プールに藻が発生する原因は様々ですが、薬剤や水の入れ替えで予防・対策が可能です。
そこで本記事では、プールに藻が発生する原因に加え、藻を除去する方法や藻の発生を抑える管理方法について解説します。
プールに藻が発生する5つの原因
プールにもが発生する主な原因は以下の通りです。
- 紫外線による影響
- 25度以上の水温上昇
- 塩素濃度がpH7.6以上になると藻の発生が活発化
- 降雨による藻の胞子の侵入
- 利用者の皮脂や汚れが藻の栄養源となり増殖を助長する
それでは詳しく解説します。
紫外線による影響
プールに藻が発生する主な原因の一つは、紫外線の影響です。
強い紫外線は藻の光合成を活発にし、増殖を促進します。
特に晴れが続く夏場は、日照時間が長く紫外線量も多いため、藻の繁殖が加速してしまうのです。
紫外線は藻にとってエネルギー源となり、水中の栄養分と結びついて急速な増殖を引き起こします。
そのため、屋外プールの藻の対策には、紫外線対策が非常に重要となります。
25度以上の水温上昇
水温が25度以上になると、藻の繁殖が活発化します。
暖かい水は藻の生育に適した環境を提供し、増殖を助長します。
特に気温が高い日が続くと、水温も自然と上昇し、藻の発生リスクが高まります。
プール利用時は塩素等で水質管理をするために、藻が発生しにくい環境を自然と作り出すことができますが、1週間前後利用しない場合やオフシーズンでプールを利用しなくなるタイミングには注意が必要です。
塩素濃度がpH7.6以上になると藻の発生が活発化
塩素濃度とpH値のバランスが崩れると、藻の発生が活発化します。
特にpH値(水素イオン濃度の略称)が7.6以上になると、塩素の殺菌効果が低下し、藻の繁殖を抑制できなくなります。
塩素濃度を適切に管理することで、藻の発生を防ぐことが可能です。
こまめに水質を測定し、塩素濃度とpH値をチェックしましょう。
必要に応じて調整剤を使用し、理想的な水質を維持することで、藻の発生リスクを大幅に減らせます。
降雨による藻の胞子の侵入
降雨は藻の胞子をプールに運び込む一つの原因でもあります。
雨水は空気中の藻の胞子を取り込みます。
藻の胞子を含んだ雨水がプールに流れ込むと、プールの水質環境によっては藻が発生しやすくなるのです。
雨天後には水質チェックと必要な調整を行い、藻の発生を未然に防ぐ対策が求められます。
利用者の皮脂や汚れが藻の栄養源となり増殖を助長する
プール利用者の皮脂、汗、日焼け止めなどの汚れは、藻の栄養源となります。
これらの有機物質が水中に溶け込むと、藻の繁殖を促進してしまうのです。
プールの利用者が多いほど、皮脂、汗、日焼け止めなどの物質が蓄積しやすく、藻の発生リスクが高まります。
定期的な水質管理と清掃に加え、プールに取り付けられたろ過機械のメンテナンスが不可欠です。
また、利用者にシャワーを浴びてからプールに入ってもらうなどのルールを設けることで、汚れの持ち込みを減らす工夫も大切です。
プールに藻が発生した場合の2つの対処法
プールに藻が発生した場合は、スーパークロリネーション(高濃度塩素殺菌)による対処が最も効果的です。
また、水を入れ替えて浴槽の床や壁面にこびりついた藻を物理的に除去するのも効果的です。
これらの方法について詳しく解説します。
スーパークロリネーションで藻を効果的に除去する方法
藻の発生に対して最も効果的な対処法は、スーパークロリネーション(高濃度塩素殺菌)です。
塩素濃度を通常の数倍である5ppmまで上げ、藻を一気に除去します。
具体的には、プールの容量に応じた適切な量の塩素剤を投入し、塩素濃度を上昇させます。
その後、プール全体に塩素が行き渡るように循環装置を稼働させます。
この方法により、藻の胞子やバクテリアを効果的に殺菌できます。
ただし、処理中および塩素濃度が安全レベルに戻るまではプールの使用を控える必要があります。
塩水プールの場合には塩化ジェネレーターの殺菌ボタンを押すだけで済みますので簡単です。
プール水の入れ替えと壁面清掃で藻を根本から除去
藻が広範囲に発生してしまい、高濃度塩素殺菌だけでは対処が難しい場合は、プール水の全量入れ替えと物理的な清掃が有効です。
まず、水を全て排出し、プールの壁面や底面に付着した藻を、洗浄剤などを活用しながらブラシで徹底的に清掃します。
清掃後は新しい水を注入し、適切な塩素濃度とpH値に調整します。
特に長期間水を交換していない場合や、藻の発生が深刻な場合には、この方法が最も効果的です。
藻の発生を防ぐための予防策|塩素濃度管理と定期的な清掃がカギ
塩素濃度を0.4~1.0ppmに維持し、定期的な清掃を行うことで、藻の発生を効果的に予防できます。
塩素濃度を維持して藻の発生を防ぐ基本対策
藻の発生を防ぐ基本は、塩素濃度を適切な範囲に維持することです。
具体的には、塩素濃度を0.4~1.0ppmに保つことで、藻や細菌の繁殖を抑制できます。
定期的な水質検査を行い、塩素濃度とpH値をチェックしましょう。
必要に応じて塩素剤やpH調整剤を投入し、水質を適正な状態に保つことが重要です。
また、水温や使用状況によって塩素の消費量は変化するため、その都度調整を行いましょう。
プール内の水流を調整して藻の発生を防止
プール内の水流を適切に調整することで、塩素が全体に行き渡り、藻の発生を防ぐことができます。
水の流れが滞る場所は塩素濃度が低下し、藻が繁殖しやすくなります。
循環ポンプやジェットノズルの配置を見直し、水流を均一にすることで藻の発生を対策することが可能です。
これにより、プール全体で均一な殺菌効果を維持でき、藻の発生リスクを減らせます。
屋外プールで藻が発生しないための管理方法
屋外プールでは紫外線対策や水温管理が重要で、プールカバーやシェードを利用することで藻の繁殖を防げます。
プールカバーやシェードで紫外線を遮断し藻を防ぐ
屋外プールでは、紫外線を遮断することで藻の発生を効果的に防止できます。
プールカバーを使用すれば、未使用時に紫外線や降雨からプールを保護できます。
また、シェードを設置することで、使用中でも直射日光を避け、水温の上昇を抑えることが可能です。
これらの対策により、紫外線による藻の光合成が抑制され、藻の繁殖を防ぐことができます。
さらに、プールカバーは汚れやゴミの侵入も防げるため、一石二鳥の効果があります。
藻の胞子侵入を防ぐための周辺環境を整備する
プール周辺の環境を整備することも、藻の発生予防に有効です。
周囲の草木を剪定しておけば、風で運ばれる葉や枝、藻の胞子の侵入を防ぐことができます。
プールデッキや周辺の清掃を定期的に行い、ゴミや汚れがプールに貯まらないようにしましょう。
また、排水溝やフィルターのメンテナンスを怠らないことで、水質の劣化を防ぎます。
これらの環境整備により、藻の発生リスクを大幅に低減できます。
プールで藻が発生した際のよくある質問
ここからは、プールで藻が発生した際のよくある質問について解説します。
藻の除去にはどれくらいの期間がかかる?
藻の除去にかかる期間は、発生の程度や対処法によって異なります。
軽度の発生であれば、スーパークロリネーションにより1~2日で解決することが多いです。
しかし、藻が広範囲にわたって繁殖している場合や、水質が著しく悪化している場合は、プール水の入れ替えや徹底的な清掃が必要となり、数日から1週間程度かかることもあります。
塩素以外で藻を防ぐ方法はある?
塩素以外にも、藻の発生を防ぐ方法はいくつか存在します。
例えば、紫外線殺菌装置を導入することで、水中の微生物や藻の胞子を物理的に除去できます。
また、銅や銀イオンを利用したイオナイザーは、藻の繁殖を抑制する効果があります。
天然成分を含むアルジサイド(藻類防止剤)を使用する方法もあります。
ですが、やはり塩素には置き換えられません。
まとめ
この記事では、藻の発生原因や対策、予防法について解説しました。
プールに藻が発生するのはさまざまな原因がありますが、高濃度の塩素を入れたり、水を入れ替えることで藻を完全に除去することが可能です。
しかし、藻が発生しやすい環境であればどれだけ除去しても意味がありません。
プールを使用した後は、塩素濃度を適切に管理しながら、プールカバーやシェードなどを利用し、藻の対策を行いましょう。