COLUMNコラム
プールに塩素を入れる理由とその影響は?必要性や塩素の目安量を紹介
「プールに塩素を入れる必要はある?」「塩素の刺激が苦手だからできれば入れたくない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
実際、塩素を洗い流さずに放置していると髪や肌にダメージが残ります。しかし、プールには健康被害を及ぼす菌が発生することもあり、塩素を入れる必要があるのです。
そこで本記事では、プールに塩素を入れる具体的な理由に加え、塩素から身体を守る予防策や、塩素が苦手な方に向けた代替案を解説します。
プールに塩素を入れる理由とその効果
まずはプールに塩素を入れる理由とその効果について解説します。
プールに塩素を入れるのは感染症予防・微生物の繁殖抑制が目的
プールに塩素を入れる主な理由は、水中の細菌やウイルスの繁殖を抑制し、感染症を予防するためです。
塩素は強力な殺菌作用を持ち、水中に存在する大腸菌やレジオネラ菌などの有害な微生物を効果的に除去します。
これにより、皮膚炎や胃腸炎などの健康被害を防ぐことができます。また、塩素は水の透明度を保ち、美しいプール環境を維持する上でも重要な役割を果たします。
このため、安全で清潔なプールを実現するために、塩素を入れる必要があるのです。
塩素を入れないと悪臭や藻が発生して感染症や菌が大量繁殖する
塩素を使用しない場合、水中の微生物や藻類が急速に増殖し、プールの水質が悪化します。
これにより、水が濁ったり、緑色に変色したり、悪臭が発生したりすることがあります。
さらに、細菌やウイルスが大量に繁殖すると、利用者が感染症にかかるリスクが高まります。
特に自宅プールは公共プールと比べて管理が行き届きにくいため、塩素を使わないと衛生状態が著しく低下する可能性があります。
快適で安全なプール環境を維持するためには、塩素が手放せません。
自宅プールに適した塩素の量は0.4~1.0mg/Ⅼ
自宅プールでの塩素の適切な濃度は、0.4〜1.0mg /Lが目安とされています。
これは厚生労働省が定めた基準であり、塩素を適量入れることで効果的な殺菌作用を持ちつつ、人体への影響を最小限に抑えることが可能です。
塩素濃度が低すぎると、殺菌効果が不十分になり水質が悪化します。
一方で、濃度が高すぎると皮膚や目への刺激が強くなり、健康被害を引き起こす恐れがあり、少なすぎず多すぎずの適量を入れることが大切です。
定期的に専用の試薬やテスターを使用して塩素濃度を測定し、適切な塩素濃度を維持しましょう。
参考:遊泳用プールの衛生基準に関する指針の一部改正に関する御意見の募集結果について
塩素が髪や肌に与える影響と予防策
続いては、塩素が髪や肌に与える影響と予防策について解説します。
- 塩素による髪のダメージはヘアキャップや直後のシャワーで洗浄
- 塩素による肌荒れを防ぐには直後のシャワーと保湿が大切
塩素による人体被害が気になる方は、この章を参考にしてください。
塩素による髪のダメージはヘアキャップや直後のシャワーで洗浄
塩素による髪のダメージを減らすには、ヘアキャップやプール直後のシャワーが大切です。
塩素は髪のタンパク質を分解し、キューティクルを傷つけるため、乾燥や枝毛、切れ毛の原因となります。
これを防ぐためには、プールに入る前にヘアキャップを着用して塩素から髪を保護することが大切です。
また、プールから上がった後は、すぐにシャワーで髪を洗い流し、塩素を除去しましょう。
保湿効果の高いシャンプーやトリートメントを使用することで、ダメージを軽減できます。
事前にオイルやコンディショナーを髪に塗布しておくと、塩素の侵入をさらに防ぐことができるので効果的です。
塩素による肌荒れを防ぐには直後のシャワーと保湿が大切
塩素による肌へのダメージを防ぐには、直後のシャワーと保湿が大切です。
塩素は肌の油分を奪い、バリア機能を低下させるため、乾燥やかゆみ、炎症を引き起こすことがあります。
特に敏感肌の方や免疫力の低いお子様には、注意が必要です。
プールから上がったら、すぐにシャワーで全身を洗い流し、塩素をしっかりと除去しましょう。
その後、保湿効果の高いボディクリームやローションを使って、肌を保湿することが大切です。
事前に保湿クリームを塗っておくと、塩素によるダメージを軽減できます。
また、水分補給を心がけ、内側からのケアも忘れずに行いましょう。
自宅プールにも塩素は必要?安全な使い方と代替方法
ここからは自宅のプールで塩素を利用する必要性や、塩素による髪や肌へのダメージが気になる方に向けた代替案を紹介します。
自宅プールで塩素を使う必要性
自宅プールでも、衛生的な水質を維持するために塩素の使用は必要です。
水を長期間入れ替えない場合や、家族や友人など多くの方が利用する場合、細菌やウイルスの繁殖リスクが高まります。
適切な塩素濃度を保つことで、菌や感染症を防ぐことができるため、自宅プールにも塩素は欠かせません。
塩素を使用する際は、プール用の塩素剤の取扱説明書をよく読み、適切な量を守りましょう。
また、子供やペットが誤飲してしまうので、触れない安全な場所で保管してください。
自宅プールの代替手段|塩素以外の衛生対策
塩素以外のプールの水質を清潔に守る方法としては、以下の方法があります。
項目 | 内容 |
---|---|
オゾン殺菌 | オゾン発生装置を設置し、水中の細菌やウイルスを除去する方法で、残留物が残らないため環境に優しいが、導入費用が高い |
紫外線殺菌 | 紫外線殺菌装置のUVランプを使用して、水を循環させながら紫外線で殺菌する。化学薬品を使わないため、肌や髪への影響が少なく、低コストで導入できる |
ろ過装置の設置 | プールの水に混じった微生物や汚れを取り除くことで、水質の状況を管理できる装置。手軽に水質管理ができ、プールのサイズによっては低コストで導入できる |
塩素を使わずに水質を管理する方法はこれだけあります。
ただし、導入コストやメンテナンスの手間が増える場合があるため、塩素以外の水質管理を選ぶ場合は、プロに相談しながら十分検討することが大切です。
プールでよくある塩素に関する疑問【FAQ】
塩素は発がん性物質なの?
塩素そのものは発がん性物質ではありません。水の管理が不十分な場合は、塩素と水中の有機物と反応して発生する「トリハロメタン」などの有機塩素化合物が発生します。
この成分に発がん性の可能性があると指摘されています。
しかし、通常のプールで適切な塩素濃度を維持していれば、その濃度はごく微量であり、健康への影響はほとんどありません。
また、プールに入る前に水を浴びたり、ヘアキャップをかぶることで、発がん性物質の影響を防ぐことができます。
それでも心配な場合は、塩素濃度を適切に管理(濃度を0.4mg/Ⅼに保つ)するだけでなく、長時間・長期間のプール利用を避けましょう。
定期的な水の入れ替えや換気を行うことで、トリハロメタンの発生を抑えることができます。
参考:塩素消毒されたプールで泳ぐとがんリスク増える、スペイン研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
プール後の目の痛みは塩素のせい?
プールで目が痛くなったり、充血するのは、塩素が目の粘膜を刺激するためです。
特に長時間水中で目を開けていると、塩素や水中の不純物が角膜に影響を与え、乾燥や炎症を引き起こします。
予防策として、水泳用ゴーグルを着用することで目を保護できます。
また、プールから上がった後は、目を清潔な水で洗い流し、必要に応じて目薬を使用しましょう。
症状が改善しない場合は、眼科医に相談することをおすすめします。
まとめ
この記事では、自宅プールを設置する際に「塩素による水質管理の必要性」や、塩素から身体を守る予防策、塩素が苦手な方に向けた代替案を紹介しました。
自宅にプールを設置する際、塩素の適切な使用は衛生的な水質を保つために欠かせません。
塩素は微生物の繁殖を抑え、感染症のリスクを抑えてくれます。ただし使いすぎると、髪や肌、目へのダメージが大きく、炎症などのリスクがあるため、適切な量を使用することが大切です。
また、塩素以外の衛生対策(紫外線発生装置やろ過装置)も検討し、自分や家族の身体にあった水質管理の方法を選びましょう。
また、最近では家庭用のプールでは塩素を直接投入しない「塩水プール」が人気です。
塩水プールは塩水から塩素を生成させ、肌や目への刺激が少なく、トリハロメタンの生成リスクもほぼありません。